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判例:「不動産の違法広告案件における身分認定の分析」

判例:「不動産の違法広告案件における身分認定の分析」

      ——北京市工商局豊台分局が取り締まった案件を例として

 

   20166月、北京市工商局豊台分局査察チームは、調査の際、豊台科技園区付近の不動産広告の不動産面積に建築面積が明示されていないことを発見した。担当者は、『広告法』第26条の「不動産広告については、不動産情報に信憑性があり、面積は建築面積或は敷地面積を明示しなければならない」という規定に違反すると判断した。

調査によって、2016229日から6月24日までの期間、A社がB社に対して「○○国際センター」不動産プロジェクトの看板広告業務を依頼し、B社が広告のデザイン、制作、取付作業をC社へ委託したことが分かった。上記広告は豊台科技園区四環路南側に設置され、「南四環で最良の501200㎡の高EQビジネスビル」、「501200㎡のリッチな知的空間」等と謳っていた。

 

一、処罰の根拠及び処分の結果

1、広告主 A社

 『広告法』第58条第1項においては次のように規定されている。「違法に不動産広告を出した場合、工商行政管理部門が広告の公布を停止し、広告主に相応の範囲内において影響を除去するよう命じ、広告費用相当額以上3倍以下の罰金を科し、広告費用を計算するすべがなく、又は明らかに低いときは、10万元以上20万元以下の罰金を科する。情状が重大である場合には、広告費用の3倍以上5倍以下の罰金を科し、広告費用を計算するすべがなく、又は明らかに低いときは、20万元以上100万元以下の罰金を科するものとし、営業許可証を取り消すことができ、かつ、広告審査機関が広告審査認可文書を取り消し、1年以内はその広告審査申請を受理しない」。これに従い、豊台工商分局は、広告主A社に対し、相応する範囲で影響を除去するよう命じ、156万元の罰金を科した。

 『不動産広告公布規定』第21条においては、「本規定に違反して広告を公布し、『広告法』及び其の他の法律法規に規定がある場合、関連法律法規に基づき処罰を科する。法律法規に規定がない場合、責任を負う広告主、広告経営者、広告公布者に対して、違法取得の3倍以下かつ3万元を超過しない罰金を科する。違法取得がない場合、1万元以下の罰金を科する」旨の規定がなされている。豊台工商分局は、A社が公布した不動産情報に建築面積が明示されなかった行為につき罰金を科する行政処罰を与えたが、予定販売許可書番号が未記入であった行為に対しては罰金を科さなかった。

2.広告経営者及び広告公布者:C

『広告法』の第58条第3項においては、「本条第1項の違法行為があることを広告経営者又は広告公布者が明らかに知り、又は知るべきであるのになお設計し、制作し、代理し、又は公布した場合には、工商行政管理部門が広告費用を没収し、広告費用の相当額以上3倍以下の罰金を併科し、広告費用につき計算するすべがなく、又は明らかに低いときは、10万元以上20万元以下の罰金を科する。情状が重大である場合には、広告費用の3倍以上5倍以下の罰金を科し、広告費用につき計算するすべがなく、又は明らかに低いときは、20万元以上100万元以下の罰金を科するものとし、かつ、関係部門が広告公布業務を一時的に停止させ、営業許可証を行政処罰として取り消し、及び広告公布登記証書を行政処罰として取り消すことができる」と規定している。そこで、豊台工商分局は、C社から広告費用156万元を没収し、156万元の行政罰金を科した。

 

二、分析

1.広告主、広告経営者、広告公布者の認定

1)広告主の認定

『広告法』の第2条第2項には、「広告主」とは、商品又はサービスの販売促進のため、自ら、又は他人に委託して広告を設計し、制作し、又は公布する自然人、法人その他組織を指すと規定されている。A社は、「○○国際センター」不動産プロジェクト開発企業であるため、広告主と認定されるべきである。

2)広告経営者の認定

『広告法』の第2条第3項には、「広告経営者」とは、委託を受けて広告の設計、制作又は代理のサービスを提供する自然人、 法人その他組織を指すと規定されている。本件においては、B社は、A社から委託を受け、C社に看板広告のデザイン、制作、取り付けを委託し、広告費用を立替えたが、A社と書面にて委託協議を締結せず、かつ広告デザイン、制作、代理サービスが実質的に発生していなかった。よって、B社は、本件の広告経営者と認定されず、本件の広告経営者はC社となる。

3)広告頒布者の認定

『広告法』第2条第4項には、「「広告公布者」とは、広告主又は広告主が委託する広告経営者のために広告を公布する自然人、法人その他組織をいう」と規定しされている。C社は、委託を受け、「○○国際センター」不動産プロジェクト看板広告のデザイン、制作、画面吹付塗装、取付の業務に従事したため、広告公布者と認定されるべきである。

 

2、広告費用の認定

『国家工商行政管理局の広告違法案件取締において、広告費用金額を如何に確認するかについての通知』(工商広字[1995168号)には、以下の通り明確に規定されている。「広告公布者に対して、広告費用は、広告公布費用の全額により確認する。当該広告に其の他の付帯サービスがある場合、そのサービス費用を広告公布費用と合算する。広告経営者に対して、広告費用は、広告代理費用、広告デザイン、制作費用の全額により確認する。当該広告に其の他のサービスが付帯した場合、そのサービス費用を広告代理、デザイン、制作費用と合算する。広告主に対して、広告費用は、それが負担する広告デザイン、制作、代理、公布等の費用の総額による合算すると規定した。

上記の「通知」によれば、すでに公布した違法広告に対して、広告経営者、広告公布者が広告費用を受け取っていない場合、公布した広告の実情に基づき広告費用を計算する。その基準は、広告主が広告経営者、広告公布者と締結した書面契約に定めた基準により確認する。書面契約を締結しなかったか、又は契約が費用金額を反映しない場合、広告経営者、広告公布者が広告監督管理機構に届出・公表した広告費用基準により確認する。

本件において、A社は、156万元の広告制作費用を支払っていないが、当該費用はA社とC社との間で書面契約にて定めた実費に属し、不動産プロジェクトの竣工後、総額をB社へ支払う予定であった。調査の中で、当該看板広告に関連する其の他の費用が見つかっていないことから、本件の全部広告費用は156万元であると認定された。

 

  (国家工商局管理行政総局広告監督管理司 中国広告監督管理サイトから抜粋)

 

 

 

 

 

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